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めし碗(天目辰砂)辰砂コーヒーカップ

銅を着色材としてふくむ赤い釉薬のことを辰砂(しんしゃ)といいます。

 中国の元の時代に釉裏紅(ゆうりこう)として出発した辰砂は、
清の時代に今日見られるような赤い釉薬になりました。
焼き物の中で出しにくい色の一つして知られ、
釉薬の調合、厚さ、素地土、焼き方の四つの条件がうまく揃ってはじめて良い色が出ます。

 また、ふちの部分が白くなるのは辰砂の特徴の一つで、
他の着色材(鉄など)で出す赤色と見分ける
ポイントになります。
そのふちの部分の白色と、本体の赤色のバランスも
辰砂を楽しむ一つの要素になると思います。

 当窯元では、開窯(1975年)以来辰砂に取り組み、
代表的な色として今日に至っております。
現在、うすい赤色、濃い赤色、また、つや消し状の赤色など、
色々な赤色がありますが、今後これらを更に発展させ、
新しい辰砂を目指して努力しています。



三池焼で使用している辰砂、及びその同系の釉薬と辰砂を使った技法は次の9通りあります。なお、
釉薬名や技法名は陶芸関連の書籍に書かれていない当窯元オリジナルのものも含まれています。



辰砂 辰砂(灰) 辰砂線文 均窯(桃) 均窯(青) 緑釉 マット辰砂 マット辰砂(つぶ) 天目辰砂 白釉

辰砂〈しんしゃ〉

 一般的な辰砂です。焼き方(還元のかかり具合など)によって黒味がかった赤色、ピンク色がかった赤色などがでます。還元がかからないと、わずかに緑がかったクリーム色になります。部分的に赤色になったり、クリーム色になったりすることもあります。この場合、赤色がはげおちたように見えますが、色がはげたのではなく、クリーム色に発色したものです。赤色とクリーム色がよい感じに混ざって発色したものは、貴重な辰砂で、当窯元では「窯変(ようへん)」扱いしております。ふちの部分は釉薬が厚くかかりませんので白くなります。ふちの部分を見ることによって、辰砂の赤色と他の着色剤(鉄など)を使った赤色と区別することができます。辰砂の上に赤黒く流れやすい別の種類の辰砂をかけてアクセントをつけることもあります。

辰砂窯変皿
辰砂の窯変
辰砂りんご形小鉢
フチが白いのは辰砂の証明

辰砂(灰)〈しんしゃ(はい)〉

辰砂の発色にいい効果を与える灰を数種類混ぜた釉薬です。一般的な辰砂よりやや黒味がかった色合いになります。斑点が出ることもあります。

天目辰砂皿

辰砂線文〈しんしゃせんもん〉

辰砂にラテックスなどで線を引き、その上に黒味がかって流れる別の種類の辰砂をかけ、線の模様を表したものです。流れやすい釉薬ですが、よく流れているものほど美しく見えると思います。

辰砂線文壷

均窯(桃)〈きんよう(もも)〉

乳濁する釉薬に銅を加え還元で焼いたものです。一般的に均窯(鈞窯)と呼ばれている釉薬ですが当窯元には桃色がかった均窯と、青味がかった均窯とがあります。桃色がかった均窯に、赤黒く流れやすい辰砂をかけてアクセントをつけることもあります。

均窯(桃)

均窯(青)〈きんよう(あお)〉

青味がかった均窯ですが部分的に桃色や赤色、白色が出ることがあります。また、焼き具合によって、つや消し状になったりつやがでたりします。半分つや消し状になった場合を当窯元では「霜降りになった」とで、珍重しています。色の出具合をコントロールしにくい釉薬です。

均窯(青)

緑釉〈りょくゆう〉

 緑色を出す釉薬は織部(おりべ 銅を着色剤に使ってほとんど酸化焼成したもの)やクロームを着色剤に使ったものなどがありますが、これは織部と同じ銅を着色剤につかったものです。織部と違うところは充分に還元をきかせた焼き方をしているところにあります。そのため、緑色の中にピンクがかった部分が生じます。緑色とピンク色、白色のバランスが見所だと思います。

緑釉(りょくゆう)

マット辰砂〈まっとしんしゃ〉

 いわゆるつや消しの辰砂です。赤色ではなくピンク色のつや消しです。均窯〈桃〉に似ていますが、基本釉が乳濁釉ではないので、均窯のつや消しとはいえないと思います。他の釉薬と組み合わせて使うことが多い脇役としての辰砂です。

マット辰砂(まっとしんしゃ)

マット辰砂(ツブ)〈まっとしんしゃ(つぶ)〉

 つや消しの辰砂です。ベースの色は白色になります。白地にやや赤みが出た色合いです。粒子の粗い原料を使っていますので触るとザラツキがあります。焼き方により半マット状なることや、マット状にならずにつやがある状態で焼き上がることもあります。半マット状で感じよく焼き上がった時、当窯元では「霜降りになった」といって、珍重しています。

天目辰砂〈てんもくしんしゃ〉

 天目系の釉薬と辰砂をかけわけた釉薬です。したがって一種類の釉薬ではありません。漆をつかってこのように色分けしたものがありますが、これを焼き物であらわしてみました。
釉薬名というより技法の分類になると思います。

めし碗(天目辰砂)

他に三池焼では辰砂系ではない釉薬も使っています。 いくつかを紹介いたします。

白釉(はくゆう) 白釉(ツブ)〈はくゆう(つぶ)〉

 ワラ白系の釉薬ですが、単なるワラ白ではないので、当窯元ではこのように呼んでいます。正面がつるっとしたものとざらっとしたものがあります。ざらっとしたものを「白釉(つぶ)」と呼んでいます。近くに辰砂があった場合、辰砂の銅分が飛んで、白釉に写り、部分的に青くなることがあります。これを当窯元では「辰砂写し」になったといっています。


白釉

白釉(つぶ)